リクルーターは誰のお金で動いているか
LinkedIn で声を掛けてくる人は 2 種類いて、報酬の出どころがまるで違う。誰が向かいにいて、誰がその人に払っているのかを先に見極める。何を話し、どの数字を絶対に渡さないかを決めるのはそのあとだ。

まず、向かいにいるのが誰かを見る
社内リクルーターは、採用する会社の社員です。埋めた席の数と質で評価され、チームのことも知っています。あなたが話したことは、そのままファイルに届きます。エージェンシーのヘッドハンターは、あなたの初年度パッケージの数割を企業から受け取ります。どこでもいいので、決まる範囲でいちばん高い額で置ければ儲かる仕組みです。
どちらも敵ではありません。ただし二人とも、あなたのキャリアではない何かを最適化しています。この取り分の仕組みのおかげで、まともなヘッドハンターはあなたの年収が高いほど得をします。そこは使えます。同時に、いちばん良い案件より決まりやすい案件を勧めてくる理由にもなります。
見分けるのに 10 秒あれば足ります。メールのドメインと、LinkedIn のプロフィールに出ている会社名を見てください。採用する会社自身のドメインなら社内。聞いたことのないサーチファームならエージェンシーです。あとになって誰かが「そこで決めたほうがいい」と押してきたとき、いま話しているのがどちらなのか、テーブルの上に手数料が乗っているかどうかを思い出してください。
報酬の受け取り方が、あなたへの扱いを決める
エージェンシーの仕事はさらに 2 種類に分かれます。この違いは初回の電話で聞き出す価値があります。成功報酬型は、自分が出した候補者が採用されたときだけ報酬が出ます。同じ 1 つの席を 4 社が同時に走っていることもあり、適任者を先に届けた 1 社が全部取ります。だから彼らの勝負は量になります。週に 5 件送ってきて、どれにも「あなたにぴったりだと思います」と書いてある。人が悪いのではありません。その一文が同時に 200 人へ出ているので、情報として何も含んでいないだけです。
リテインド型は逆です。企業が前金を払って 1 社に任せる形で、たいていは幹部の席か、公開して募集できないほど微妙な席です。現職がまだ交代を知らされていない、というような席のことです。リテインドのリクルーターが同時に抱えている候補者は数人で、何百人ではありません。なぜその席が空いたのか、前任者はなぜ辞めたのか、上司になる人はどういう気性か。1 時間かけて話してくれます。動く気のまったくない年でも、この電話は最後まで受けてください。
聞き方はそのままで構いません。Is this a retained search or contingency? この業界の日常語なので、聞かれて気を悪くする人はいません。はっきり答えが返れば、自分にどれだけの時間が割かれるかが分かります。曖昧にして別の話に移ったなら、それも答えです。
正しい相手に見つけてもらう
リクルーターは LinkedIn の検索の中に住んでいます。ヘッドラインは「open to opportunities」ではなく、狙う職種と検索される専門 2 つにしてください。レジュメの定量ブレットを映したプロフィールには、正しい案件が来ます。曖昧なプロフィールにはスパムが来ます。
多国籍企業の求人には、求人サイトに一度も出ないものがかなりあります。LinkedIn とサーチファームの中だけを流れます。だから、見つけてもらうための配線に一晩使う価値があります。Open to Work をオンにして、公開範囲はリクルーターのみに。今の雇用主には見えません。職歴欄はレジュメと同じ基準で書きます。動詞から始めて、数字を付ける。
間違えたままの人が多い欄が 2 つあります。勤務地は、会社の本社ではなく働きたい都市を書きます。リクルーターは地域で絞り込むからです。転居してもいい、在宅でもいいなら、それはヘッドラインに書くことで、About の 4 段落目に埋める話ではありません。職種名は、市場が検索する呼び方にします。名刺には「事業部 担当課長」と刷ってあるかもしれません。検索窓に入力されているのは Product Manager です。
設定が正しくなると、受信箱がそのまま計器になります。1 週間ばらばらの案件しか来ないなら、たいていヘッドラインのキーワードが別の仕事を向いています。
探していない時期も、良いスカウトには返信します。丁寧な 2 文と、「今は動きませんが、X が出たら思い出してください」の一言。それが相手のメモに残り、X が実在する日に電話が鳴ります。
最初の電話も交渉である
ヘッドハンターの初回電話は、現年収と下限を取りに来ます。渡すのはレンジと優先順位までにして、今の数字は渡しません。たいていの会話は「トータルで X 前後を狙っています」で足ります。この一文は給与明細と同じ役目を果たしますが、天井は作りません。
今の給与は私的な情報です。渡した瞬間に、交渉の床を相手に手渡すことになります。使える一文があります。I would rather focus on the value of the new role. My expectation is in the range of X. これを失礼だと感じる人は、この市場にいません。標準的な答え方で、交渉が上手い人はみんなこう言います。
それ以外は気前よく渡してください。今のタイトルと担当範囲、進みたい方向、飲めない条件、たとえば転居は不可、など。リクルーターは同時にいくつもの席を抱えています。説明が鋭いほど、返ってくるマッチも鋭くなります。曖昧に入れれば、曖昧に返ってきます。
渡した分だけ引き出してください。なぜ席が空いたのか、どれくらい空いているのか、前の候補者は何で落ちたのか。ヘッドハンターは、企業よりも正直にこれらを答えます。誰がどこを辞めるかは、彼らが日々扱っている在庫だからです。
履歴書を渡す前に、こちらから聞く
多くの人はリクルーターの質問に答え、電話を切り、求人票が届くのを待ちます。その 30 分は、届く求人票よりはるかに価値があります。ここでしか手に入らない答えがあるからです。面接官は予算を教えてくれませんし、上司になる人は前任者がなぜ辞めたのかを教えてくれません。(面接の最後の 5 分に何を聞くかは別の話で、相手も目的も違います。)
- この席はどれくらい開いていますか。1 年近く開いたままの席は、たいてい給与が市場より低いか、上司が扱いにくいか、本気で採る気がないかです。
- 増員ですか、欠員の補充ですか。補充なら、前の人はなぜ辞めましたか。答えが用意されていないこともあります。その沈黙の長さが答えです。
- ヘッドカウントは承認済みですか。承認されていない席は、あなたが面接を終えたあとで消えます。思っているより頻繁に起きます。
- 何ラウンドで、だいたいどれくらいの期間で、最後に決めるのは誰ですか。日程を言えないなら、会社の中でもまだ組まれていません。
- この席のレンジはいくらですか。原語はそのまま What is the band for this role? 「候補者次第です」は、本人も知らないという意味です。
履歴書をどこへ送っていいか、先に決めておく
いちばん高くつく失敗は、自分の履歴書がどこへ届くのか分からないまま手放すことです。同じ席に 2 社が同じ人を送ると、企業は手数料の取り分が片付くまでその人を脇に置くことがよくあります。自分で採用ページから応募したあとにエージェンシーが送ると、システムが重複応募と判定する会社もあります。どちらの場合も、誰も知らせてくれません。あの会社は静かになったな、と思うだけです。
だから最初の電話で線を引きます。会社名と職種を教えて、私が「はい」と言ってから送ってください。そのまま言うなら Please do not submit me anywhere without checking with me first. まともなリクルーターは、これを聞いても眉ひとつ動かしません。なぜそれが現実的でないかを説明し始める人こそ、このルールが想定している相手です。
自分の帳簿を付けてください。会社、職種、どのリクルーター、送った日付。3 か月も経てば 5 社が同時に走っていることもあり、どこへ既に送られたかを知っているのはその一覧だけです。記憶を頼りに「そこは応募していないと思います」と答えると、その会社との線を 1 年つぶすことがあります。
同時に、送ってはいけない先の一覧も渡します。今の勤務先、その親会社とグループ会社、そして自分が動いていると知られたくない場所。履歴書が自社の人事に届くのは怪談ではありません。この業界で毎月起きている事故です。ここから 2 つが議論なしで決まります。個人のメールアドレスを使うこと。そして、会社の PC と就業時間でこのやり取りをしないこと。
相手はあなたの履歴書を書き換える
リクルーターがあなたの PDF をそのまま転送することは、ほとんどありません。自社の表紙フォーマットに載せ替え、連絡先を消します。客が直接あなたに電話できるなら、手数料を払う理由がなくなるからです。ついでに中身を整える人もいます。「参加した」が「主導した」になる。チームでやった仕事が、あなた一人の成果になる。本人は嘘だと思っていません。パッケージングだと思っています。3 週間後に会議室で細部を掘られるのは、あなたであって彼ではありません。
だから毎回、一言足します。Could you send me the version you are submitting? 受け取ったら見るのは 2 点だけです。数字が盛られていないか、役割が昇格していないか。どちらかが起きていたら、元に戻すよう頼み、理由も口に出します。面接官は 3 階層下まで掘るので、そこで崩れる記述は客との関係を傷つける、と。この理由は一瞬で通じます。あなたのコストではなく、彼のコストの話だからです。
逆方向の修正は、たいてい受け入れる価値があります。彼はこの席のために客が 4 通の履歴書を落とすのを見てきたので、採用側がどの言葉を探しているかを知っています。「何人見ていたか 1 行入れてください」「プラットフォームと書かずにシステム名を出してください」。それはたいてい、客が実際に口に出して聞いたことです。情報を足すのは構いません。やっていない仕事を足すのは駄目です。その線を守るのはあなただけです。
選考に入ったら、フィードバックをくれるのは彼だけ
会社は何が駄目だったかを教えてくれません。社内リクルーターはたいてい定型文を 1 通送るだけで、理由はどこにも書かれていません。ヘッドハンターは違います。デブリーフの場にいて、しかも伝える動機があります。あなたを直すか、次の候補者を直す必要があるからです。だから各ラウンドが終わった当日に聞きます。What did they say? Anything I should adjust for the next round?
返ってくるのは、会社が面と向かっては絶対に言わない一文です。「チームの仕事の説明に聞こえて、あなた自身が何をしたのか聞き取れなかったそうです」「財務の人間と通訳なしで話せるか確認したいそうです」。この一行は、面接を頭の中で 1 時間再生するより効きます。この席が流れても、その一行は持って歩けます。
オファーの段階で彼の立場は変わります。そうなるものだと思っておいてください。手数料の大半は成約に紐づいていて、あなたが最終的にいくら取るかには紐づいていません。だから「この程度の差で壊さないほうがいい」「この会社はめったに動きません、何度も見ています」と言われます。どちらも本当かもしれませんし、どちらも今月中に署名させたい人の言葉かもしれません。金額の話をどう進めるかは別の記事の仕事です。ここで持って帰るのは 1 つ。彼は伝言を運びますが、中立な回線ではありません。
彼のいちばん役に立つ機能は、まったくロマンチックではありません。催促です。「今週中に返事と言っていたのに 4 日経っている」。これを自分で問い合わせると焦って見えますが、彼がやれば仕事をしているように見えます。しかも彼がかけているのは採用マネージャーの直通で、採用窓口の受信箱ではありません。
ここで切っていい合図
切るのに一悶着は要りません。I will pass on this one, thanks. これで全部です。この業界の人はよく動くので、今日履歴書をばら撒いているこの人が、2 年後にはあなたが行きたい会社の社内リクルーターとして座っているかもしれません。あなたが残す印象のほうが、相手が残す印象より長く残ります。
- 会社名を言わない。「誰もが知る外資系」とだけ言い、まず履歴書をくれと言う。たいていその席は存在しません。データベースを作っているところです。
- 独占を求める。あるいは、その会社の求人はすべて自分を通すと約束させようとする。どのリクルーターにも、その義理はありません。
- 電話のたびに、ほかにどこを受けているか、どの段階か、金額はいくらかを聞く。1 回なら日程調整です。毎回なら、客のための市場情報の収集です。
- 売り文句が「採用マネージャーとは親しいので、私が出した人は必ず読まれます」。本当にその関係がある人は、それを言う必要がありません。
- 送ったあとに消える。進捗を聞くとかわし、別の 3 件に話を移す。
- あなたのタイトル、勤務先、給与レンジをそのままグループチャットや公開の投稿に貼って、誰か興味がある人はいるかと聞く。今日ほかの人にそうする人は、明日あなたにそうします。
急に返事が来なくなったら
リクルーターは消えます。よくあることで、たいていあなたとは関係ありません。席が凍結された、社内で埋まった、客がサーチを自社に引き戻した、署名に近い候補者が現れた。「進展はありません」という一文は彼にとって何の得にもならないので、何も言わないほうを選びます。
追い方はこうです。1 週間待って、3 行送り、一文で答えられるくらい具体的な質問を 1 つだけ入れます。Has the team moved forward with other candidates? これは「進捗を確認させてください」より圧倒的に効きます。後者は段落を組み立てさせるからで、その段落を組み立てたくないから返事が来ていないのです。もう 1 週間沈黙が続いたら、その線は終わりです。
終わったのであって、消したのではありません。リクルーターはよく会社を移り、半年後に同じ人が新しい席と新しい客を持って戻ってきます。うまくいかなかったときに感じよく終えていれば、あなたは今もリストに載っています。
本当のリスクは、誰か一人に音信不通にされることではありません。転職活動をまるごと 2、3 人に預けてしまうことです。見えるのは彼らがたまたま抱えている席だけで、つまり他人の売上目標があなたの選択肢を決めています。エージェンシーは経路の 1 つです。直接応募、社員からの紹介、企業の採用ページの通知メールを、同時に走らせてください。
10 年単位の付き合いとして扱う
あなたの分野で最良のヘッドハンターは、10 年に 2 回あなたを置いてくれます。その合間は、市場の様子を教えてくれます。たまに近況を送り、良い候補者を紹介し、動く気のない年にも電話に出てください。
「今は動きません」に中身を持たせてください。何があれば電話に出るかを伝えます。もっと大きなチーム、地域をまたぐ範囲、特定の業界。そう言えば正しい引き出しに入れてもらえて、次の連絡は正しい席になります。「ありがとうございます、今は結構です」だけだと、彼のシステムの中では反応しない名前として残ります。
良いリクルーターと年に 1 度話すのは、健康診断と同じ働きをします。何にも応募しません。今の自分がどのレンジにいるか、どのスキルが繰り返し聞かれるか、どのスキルがもう誰にも聞かれないかが分かるだけです。辞めると決めた日にこれを聞き始めると、半年出遅れます。
あなたのタイトルが 5 年かけて上がるのを見てきたリクルーターは、先週の火曜に知り合った人とはまったく違う売り方をします。その差は、あなたの年収に出ます。
ガイドが扱うのは面接の場での話です。その場に呼ばれるかどうかは、レジュメで決まります。自分の言葉で書けば、10 秒で英文ページに